制限行為能力者の法定代理人に認められる権利の種類を、語呂合わせと暗記法でご紹介します。

制限行為能力者とは?

判断能力が不十分なことにより、原則として単独で契約や法律行為を行なうことができない人のことを制限行為能力者といいます。

制限行為能力者や法定代理人についての法律は、 民法 第一編第二章第三節 にまとめられています。

制限行為能力者は、大きく4種類あります。

①未成年者

未成年者とは、18歳未満の人のことです。
法定代理人は、親権者または未成年後見人となります。

②成年被後見人

成年被後見人とは、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者で、家庭裁判所による後見開始の審判を受けた人のことです。
法定代理人は、成年後見人となります。

③被保佐人

被保佐人とは、精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分な者で、家庭裁判所による保佐開始の審判を受けた人のことです。
法定代理人は、保佐人となります。

③被補助人

被補助人とは、精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な者で、家庭裁判所による補助開始の審判を受けた人のことです。
法定代理人は、補助人となります。

法定代理人の権利は?

法定代理人は、制限行為能力者が行なう法律行為に対し以下の権利をもって影響を及ぼすことができます。

  • 同意権 ... 制限行為能力者が法律行為を行なう前に同意することができる
  • 追認権 ... 制限行為能力者が単独でした法律行為を後から同意することができる
  • 取消権 ... 制限行為能力者が単独でした法律行為を取り消すことができる
  • 代理権 ... 制限行為能力者の代わりに法律行為をすることができる

これらの権利は次の語呂合わせでまとめて覚えることができます。

制限行為は イッ同意権ツー追認権ショウ取消権代理権

各法定代理人に認められる権利は?

法定代理人ごとに認められる権利の覚え方のご紹介です。
各法定代理人を横に並べ、先程の語呂合わせ「制限行為はイッツーショウリ」を縦に並べます。

「◯」が権利あり、「×」は権利なし、「△」は条件付きで家庭裁判所の審判によって認められた場合はあり、となります。

親権者 成年後見人 保佐人 補助人
同意権 x
追認権
取消権
代理権

この表の覚え方は以下のポイントで押さえます。

  • 一番左の列はすべて◯
  • 一番右の列はすべて△
  • 左から2列目は一番上が×、それ以外が◯
  • 右から2列目は一番下が△、それ以外が◯

成年後見人に同意権がないことと、家庭裁判所の審判によって権利が変わるのが保佐人と補助人であることを押さえればより覚えやすいかもしれません。