宅建士試験における没問とは?2022年10月試験であった没問を解説
没問とは?
没問とは「没収問題」の略です。
選択肢の中に正解がない場合に無効となる問題です。
過去の宅建試験において、選択肢の中に複数の正解がある場合は、無効とはならず複数の選択肢が正解となるようです。
その場合は没問のように無効とはならず、一般的に単に「問題誤り」と呼ばれているようです。
没問や問題誤りになるとどうなる?
没問となった場合、通常、受験者全員が正解したものとみなされます。
点が増えてお得に感じるかもしれませんが、それによって平均点もあがるので微妙なところではあります。
問題誤りの場合は、正解となる選択肢が複数となります。
過去にあった没問
宅建士試験を主催する不動産適正取引推進機構のHPから、過去にあった没問や問題誤りを確認してみました。
開催年月 | 問題 | 結果 |
---|---|---|
令和4 10月 | 問48 | 没問(正解なし) |
令和3 12月 | 問44 | 問題誤り(2または3が正解) |
令和2 10月 | 問42 | 問題誤り(1または4が正解) |
平成24 | 問5 | 問題誤り(3または4が正解) |
平成24 | 問48 | 没問(正解なし) |
平成18 | 問49 | 問題誤り(3または4が正解) |
平成5 | 問20 | 問題誤り(1または3が正解) |
平成5 | 問32 | 問題誤り(2または4が正解) |
平成5 | 問39 | 問題誤り(2または4が正解) |
平成3 | 問9 | 没問(正解なし) |
平成2 | 問17 | 没問(正解なし) |
こうして眺めてみると、没問や問題誤りがある時期にも波があるように感じます。
平成5年は問題誤りが3つもあり、ある意味伝説回でした。
その後おそらく対策強化が入り、平成18年までの13年間は誤りなく続いています。
ここ数年は、コロナの影響で年に2度試験が開催されることもあって運営も大変なのか、誤りが増えているように見えます。
令和4年10月試験であった没問
私が受けた試験である令和4年10月試験では、問48が没問となりました。
問題は以下です。
【問 48】 次の記述のうち、正しいのはどれか。
1 建築着工統計調査報告(令和3年計。令和4年1月公表)によれば、令和3年の新設住宅の着工戸数のうち、持家は前年比で増加したが、貸家及び分譲住宅は前年比で減少した。
2 令和4年地価公示(令和4年3月公表)によれば、令和3年1月以降の1年間の住宅地の地価は、三大都市圏平均では下落したものの、それ以外の地方圏平均では上昇した。
3 令和4年版土地白書(令和4年6月公表)によれば、令和3年の全国の土地取引件数は約133万件となり、土地取引件数の対前年比は令和元年以降減少が続いている。
4 国土交通省の公表する不動産価格指数のうち、全国の商業用不動産総合の季節調整値は、2021年(令和3年)においては第1四半期から第4四半期まで連続で対前期比増となった。
令和4年度 10月試験問題より引用
当初この問題が想定していた正解は4でしたが、国土交通省のデータ改訂に伴い4が正解ではなくなってしまいました。
国土交通省が公表する不動産価格指数のうち、全国 商業用不動産総合の季節調整値の2021年分について対象となるデータをまとめたものが以下です。
不動産価格指数(8月発表) | 対前期比%(8月発表) | 不動産価格指数(9月発表) | 対前期比%(9月発表) | |
---|---|---|---|---|
2021 Q1 | 122.7 | 1.1 | 123.2 | 1.4 |
2021 Q2 | 123.6 | 0.7 | 123.1 | ▲0.0 |
2021 Q3 | 125.8 | 1.7 | 125.6 | 2.0 |
2021 Q4 | 127.3 | 1.2 | 127.4 | 1.4 |
国土交通省 - 不動産価格指数 令和4年8月31日公表分
国土交通省 - 不動産価格指数 令和4年9月30日公表分
8月発表分の対前期比をみると、各四半期で +1.1%, +0.7%, +1.7%, +1.2% と連続して増加しています。
しかし、9月発表分をみるとデータが更新され、第2四半期だけ対前期比が増加していなかったのです。
そのため、選択肢4が誤りとなり問題自体が無効となりました。
没問・問題誤りへの対策
これまでみてきたように、没問や問題誤りは一定の割合で存在します。
問題をつくるのは人間なので間違うことも当然ありますし、今回のように問題作成時には正解であったものの、時が経って誤りとなってしまうものも今後もあり得るでしょう。
没問や問題誤りなどはある程度存在すると割り切り、怪しいと感じた問題は試験中に時間をかけすぎないほうが良いでしょう。
代わりに、基礎的な問題を着実に、必ず正答していくというスタイルを重視した方が合格に近づくはずです。